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コーディネイター (Coordinator) とナチュラル (Natural) は、アニメ機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する架空の人種概念。作中では相反する存在として定義されている。


注意以降の記述で物語に関する核心部分が明かされています。


コーディネイター[]

遺伝子操作により肉体的な欠陥を持たない新しい人類として生み出された人々を、「コーディネイター」と呼ぶ。総じてナチュラルよりも堅牢で運動神経の優れた身体能力、優秀な頭脳を持っている。また、過酷な環境や重篤疾病に対する抵抗力なども高い。彼らコーディネイターは、特殊な栄養摂取や特段な訓練、外科的薬学的処置などせずとも、通常の知的身体的発達過程で超人的な能力が、しかもナチュラルの発達速度よりはるかに高速で発現されてゆくことが、例外的障害を除けば生得的に約束されている。無論、不死身の生物ではないため、老衰、あるいはなんらかの不慮の事故により著しい損傷を身体に被った場合は、生命活動の不可逆的停止=死に至る。

コーディネイター同士の両親から生まれた子供もコーディネイターの資質を備えており、遺伝子操作された受精卵から産まれたコーディネイターを第一世代、第一世代の親から産まれたコーディネイターを第二世代と呼ぶ。総じてナチュラルよりも堅牢で運動神経の優れた身体を持っている。

しかし、遺伝子に改良を重ね続けた結果、世代を重ねるほど生殖能力が低くなる弊害を抱えており、第三世代の出生率の低下は深刻な問題となっている。そのためプラントでは、遺伝子的な適合性を見出しての婚姻統制をしいている。それに加え、天然母胎の子宮が受精卵の発生発達に影響を及ぼし、遺伝子操作者の意図通りの形質が表現されない場合があるため、「人工子宮」による胎児の成育も進められているようである。

プラント国民、コーディネイターは13才が成人年齢であり、それまでに大卒並みの学力とオリンピック選手並みの運動能力を身につける。 国政被選挙権は15才から発生するため、17~18才そこそこで官僚や閣僚の役職をこなす者も珍しくない。兵役に出るのも10代が普通である。

歴史[]

人類初のコーディネイター、ジョージ・グレンが自らがC.E.11年、遺伝子操作により生まれたことを告白すると共に、ネットワークを通じてその技術を全世界に知らしめた。彼らは“自然に生まれた者達より、多くの力を持てる肉体と、多くの知識を得られる頭脳を持っている”。そしてその創造者の意図は、“我々人には、まだまだ可能性がある。それを最大限に引き出すことができれば、我等の行く道は、果てしなく広がるだろう”というものであった。

しかし、遺伝子操作で超人を造る技術であるコーディネイター技術は、世論から多くの反発を受けた。

C.E.16年、国連遺伝子資源開発会議において、出生前の人間に対する遺伝子操作の一切を禁ずる『人類の遺伝子改変に関する議定書』が可決採択。これにより合法的にコーディネイターを造ることは不可能となったが、我が子を「勝ち組」にしたいという一部富裕層をはじめとする人々の欲望を制御しきることはできず、その後も多くのコーディネイターが違法に誕生し続ける事になる。

C.E.30年のパレスチナ公会議の失敗により伝統宗教の権威が著しく失墜すると、「コーディネイター寛容論」「遺伝子操作アレルギー論」等がひろまり、生み出されるコーディネイターの数も増加。コーディネイター製造をおこなう企業までもが誕生し、C.E.45年にはその人口が1000万人を突破したとみられる。このためC.E.55年には、再度コーディネイター作出の禁止を定めた『トリノ議定書』が採択された。

その後、ブルーコスモス的思想の定着や、ナチュラル/コーディネイターの物理的居住空間が地球/プラントにほぼ分断固定化したこともあり、SEED本編の時代には第一世代のコーディネイターはほとんど生まれなくなっている。

大部分のコーディネイターは、スペースコロニー国家であるプラントに移住している。ただし、C.E.70.2月8日に中立宣言をおこなったオーブは少数のコーディネイターにも国籍や永住権をあたえており、オーブの高い技術力・国際競争力は彼らによるところが大きいとされる。ただ、「潜在コーディネイター」と称してエリカ・シモンズのように自分がコーディネイターであることを周りに隠している者もいる。

名の由来[]

「コーディネイター」という名称を提唱した初代コーディネイター=ジョージ・グレン自身は「地球と宇宙を調停するもの(コーディネイター)で有るべき」、「『コーディネイター』とは人類と新たに生まれるであろう新人類との架け橋『調整者 コーディネイター)』になるよう命名した」と語っている。

その理念は、プラント市民の中で間もなく、コーディネイター自身が選ばれた新人類・新種族であるとする選民思想に取って代わられ、やがてそれがプラント在住者の中心的イデオロギーとなっていった。

諸問題[]

コーディネイターは総じて頑健な肉体、優秀な頭脳を持っている。また、過酷な環境や重篤疾病に対する抵抗力なども高い。そのため、ナチュラルに対して優越感を持ったり、ナチュラルを見下す考えを持つコーディネイターも少なくない。稀に自身の境遇に悩みブルーコスモスに入ってしまう者も居る。なお、コーディネイター国家であるプラントの技術力は総じてナチュラルの国家より高いが、元々頑健な肉体を持っているためにあまり必要とされていない医療や薬学などの一部分野では、ナチュラルの社会の方が技術的に優れているケースもある。

とはいえ総じて見ればコーディネイターが紛れもない優生学的“超人種族”であるのも事実であり、一例をあげればキラ・ヤマトは16才当時、特別な戦闘訓練を受けていないにも関わらず相手が年齢が1才上、身長で5センチ体格にまさるナチュラルであっても「本気で喧嘩したら」「かなうわけない」ほどの強大な筋力と格闘技術を発揮した。しかもこれは偶然、一過性の結果ではなく、キラはナチュラルが自分に「かなうわけない」ことを自覚したうえで、その力を行使していた。

さらに彼は、複雑極まるうえ未完成でバグが無数にある機動兵器操縦用組み込みOSのプログラムを、その戦闘起動中にわずか数十秒~数分で書き換え、デバッグを完了させることもできた。そのあまりに優秀な能力により、ヘリオポリスのカレッジ在学中彼は、指導教授のカトウからプログラム解析(元々はモルゲンレーテ社から依託された)の仕事を頻繁に請け負わされて重宝がられていたほどである。より身近な部分では、常人が両手で行うキーパンチをキラは片手でよそ見をしながらでも高速でこなすことができた。一方で拳銃を撃つ際に安全装置の解除を忘れている描写もあったので、万能無謬の存在というわけでもない。

一般傾向として学業、労働、恋愛といった社会競争の舞台でナチュラルがコーディネイターに不利を強いられるのは自明である。人権と機会の平等を大原則とする民主主義社会はこのような生命倫理(バイオエシックス)違反を許容しない。公式年表にあるように、早々に違法とされたのも当然といえる。

こういったコーディネイターの優生学的、ナチスの優等人種論的特色は早期から指摘されており、続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、逆に地球軍/ナチュラル側の悪行としてロドニアのラボ等 、ナチスの生体実験を想起させる施設が登場、主人公シン・アスカが「(コーディネイターはダメで)これはアリなんですか!?」と、コーディネイター側の非倫理性を相殺化しようとする場面が描かれた。また、コーディネイターとナチュラルの違いについて、「重い病気にならないだけ」という事実と異なるセリフが、やはりシン・アスカの口から語られた。一方劇中、ギルバート・デュランダルは自らの演説の中で“ナチュラルがコーディネイターを脅威視するのは根拠無き偏見であり、社会競争における能力差を懸念して自然に生まれた感情ではなく、一部の(軍需)大企業トップの企てた陰謀だった”という主旨の陰謀論を展開して、地球連合各国国民を懐柔した。

ただし当然のことながら、既に誕生し存在しているコーディネイターの人権もまた尊重せざるをえず、またナチュラルサイドの描写が本編、外伝共不足しているため現状ストーリー中この問題の解決は極めて困難となっている。

ただ、『DESTINY』においてはコーディネーターとナチュラルとの垣根がそれほど強く描かれていない。ミネルバの副長・アーサー・トラインのお調子ぶりやシンの身勝手さはとてもコーディネーターとは思えないという意見もあり、一方ナチュラルに於いてもムウ・ラ・フラガの戦闘力はコーディネーターのそれを明らかに超越しており、ロウ・ギュールの柔軟な危機対処能力や勘はコーディネイターには持ち得ない物である。さらに両者の思想、考え方にそれほど差異は見られず、結果「能力」に差はあっても「」の概念は両者とも変わらないという意見もある。(コーディネーターをねたむ=ナチュラルを見下す、味方を騙してのスピットブレイク=味方を騙してのサイクロプス、核によるプラント攻撃=ジェネシスによる地球攻撃など)また、コーディネイターであってもそれなりの努力をしなければナチュラルと能力が変わらない面もある(キラの握力や射撃などから確認)。

また、キラが兵役検査を受けたときの握力は43kgで、これは現代(21世紀初頭)の日本人男性の平均値でしかないことから、C.E.世界の人類は全体的に(文明の高度化などで肉体を使う機会が少なくなるなどして)衰えている可能性もうかがわせる。

その他[]

  • シリーズ第1作『機動戦士ガンダムSEED』では劇中、エリカ・シモンズがコーディネイターである旨語られてはおらず、これは周辺エピソードでの後付け設定である。
  • コーディネイターと言う名前の由来は、本来遺伝子を『調整された者』(正しくはcoordinated)という意味で命名したのが、英語として間違っていることに気づいて後付で設定変更されたものと思われる)。
  • また、子供をコーディネイターとして産んだ親が外見などが希望通りに生まれてこなかったからといって親権を放棄してしまうケースもある。この点は特筆すべきであり、コーディネイターとは私人のエゴ=レッセフェール型優生学の産物であり、後に地球軍内で軍務という公益目的で開発されたブーステッドマンやエクステンデッドら強化人間とは、その発生動機が大きく異なっている。
  • インターネット上ではナチュラルを「ナチュ」、コーディネーターを「コーディ」と略す事もある。
  • 現実におけるデザイナーベビーをモチーフとして作られた設定と思われるが、あくまでフィクションの設定であり差異も認められる。
  • プリンストン大学教授リー・M・シルヴァー著『Remaking Eden』では、近未来人類が遺伝子改良人間である「ジーンリッチ」とそうでない「ナチュラル」という2つの階級に分けられる究極の差別社会が描かれ、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの設定は、ほぼその丸写しといってよいほど酷似したものである(参:斎藤貴男『機会不平等』文藝春秋2000)。
  • なお、現在既に存在する遺伝子診断スタッフの呼び名も「コーディネイター」である。

スーパーコーディネイター[]

コロニーメンデルにおいて、ユーレン・ヒビキにより行われていた実験で開発した人工子宮を用い、人間の母体という不確定要素に頼ることなく生み出された「最高のコーディネイター」を、スーパーコーディネイターと呼ぶ。

コーディネイターを超えたコーディネイターと言う存在であり、明確な定義は無いが、通常のコーディネイターよりも高い能力を持っている。「人類の夢」「コーディネイターとしても唯一の成功体」と語られており、数々の悲劇的な失敗を経てようやく生まれた成功例がキラ・ヤマトである。スーパーコーディネイターとして生まれても、能力が開花する環境になければ、十分にその能力を発揮できず、これはコーディネイターと同様である。

カナード・パルスはこのスーパーコーディネイター生成の失敗例である。カナード・パルスが通常のコーディネイターよりも高いモビルスーツ操縦技術を持っていると考えられるにもかかわらず、失敗作とされたのは「生まれながらに持つ先天的能力が理想レベルに達していなかった」ためと『X ASTRAY』では説明されている。カナードの回想シーンによると研究者たちはあくまで「高い身体能力(戦闘能力)」をスーパーコーディネイターに求めていたようである。実際、カナードが長年の努力と訓練で高いモビルスーツ操縦技術を得ているのに対し、キラは実戦のみで短期間のうちにザフトエリート部隊を圧倒するほどのモビルスーツ操縦技術を得ている。

その他[]

  • 尚、DESTINYの世界でスーパーコーディネイター(この場合はキラを指す)は最強の戦闘能力(特にMSパイロットとしての能力)を持つコーディネイターと描かれていることが多い。遺伝子研究の権威でもあるプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルアスラン・ザラに「キラのやるべき道はモビルスーツパイロット」だと言っている。
  • 『ASTRAY』において通常のコーディネイターよりモビルスーツ操縦技術が高いカナードが、戦闘用コーディネイターとして生まれた叢雲劾と勝負した際は、ブルーフレーム2ndGの頭部を半壊させている。勝負自体は劾が撤退した事もあり引き分けに終わっているが、失敗作の烙印を押されたカナードが戦闘用コーディネイターと互角以上の戦いをしている。
  • ASTRAYの著者である千葉氏が森田氏に「劾はどのようなキャラか」と聞かれ、SEED世界で一番強いキャラと答えたら「キラより強いのはありえない」と森田氏に言われている。


ナチュラル[]

コーディネイターに対して遺伝子操作をしていない既存の人類をナチュラルと呼ぶ。その呼称の由来は遺伝子が自然(natural)のままの者という意味である。

ナチュラルにとって、コーディネイターという生物学的「選民」が現出した事は、自らにとっての社会競争上、あるいは生存上の脅威とみなしている。この感情がイデオロギーとして体系化され、その思想の積極的支持者によって構成される「ブルーコスモス」という団体が存在している。彼らの中には過激な運動を組織的に行う者も多く、人類初のコーディネイター、ジョージ・グレンも、この過激派の手によって暗殺された。その一方で、ジョージの支持者の大半がナチュラルであり、ジョージ・グレン友の会によって、彼のは保管されている。

地球はもとより、L1及びL3宙域コロニーに居住しているのは大半がナチュラルであるが、プラントが実効支配しているL5宙域ではナチュラルとコーディネーターが居住しているコロニーが混在している。また表向きコーディネイターだけが暮らしているとされるプラントにおいても第一世代コーディネイターの親世代のナチュラルが僅かながら暮らしている。

ハーフコーディネイター[]

ナチュラルとコーディネイターの間で混血は可能であり、ごく少数ながらそういったハーフコーディネイターも存在する。ナチュラルでもコーディネイターでもない亜人類として扱われることが多く、立場的に社会生活でも孤立してしまい、ほとんどのハーフコーディネイター達は、自らの素性を隠し続けるか、中立国であるオーブに在住している。また、自身の存在に悩んだ末にコーディネイターの撲滅を主張するブルーコスモスに協力してしまう者もいる。

コーディネイターの間では「ナチュラル帰り」という侮蔑を込めた名で呼ばれている。しかし、コーディネイターの中にもシーゲル・クラインの様に生前コーディネーターの出生率低下の解決を名目にコーディネーターをナチュラルへ回帰させるプランを立ち上げ、秘密裏にハーフコーディネーターを奨励し、南米へ移住させる事もしている。

パトリック・ザラとシーゲル・クラインは、元々コーディネイターの未来を共に語り合う同志であり、互いに「パトリック」「シーゲル」とファーストネームで敬称抜きで話す仲であった。しかし、ヤキン戦役時シーゲルはコーディネイターを「(コーディネイターのみで)自立して存続しうる新たな種ではない」と諦観するに至っており、逆にその選民思想が先鋭化の度を増すパトリックにしてみれば、それは裏切り行為と映り、評議会穏健派であるシーゲルに単なる政敵以上の敵意の眼を向け、フリーダム強奪事件において状況証拠(ラクス・クラインの関与)のみで彼を裏切り者と断定して指名手配し、最終的に抹殺にまで至っている。

関連項目[]


  
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