デュエルガンダムは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する架空の兵器。
地球連合軍の試作型MS(モビルスーツ)。劇中での正式名称はGAT-X102 デュエル(ガンダムタイプ#コズミック・イラにおけるガンダムを参照)。機体名の「デュエル」は英語で「決闘」の意味。メカニックデザインは大河原邦男が担当。
本項では、『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』に登場する発展機ブルデュエル及び『機動戦士ガンダムSEED VS ASTRAY』に登場するレーゲンデュエルの概要も記述する。
注意:以降の記述で物語に関する核心部分が明かされています。
機体解説[]
テンプレート:機動兵器 地球連合加盟国の1つ大西洋連邦が、オーブ連合首長国公営企業モルゲンレーテ社の技術協力を受け、オーブ管轄の資源コロニー「ヘリオポリス」で極秘開発した5機の試作型MS(G兵器 / 前期GAT-Xシリーズ)の1機。
本機は将来の連合主力MSの基本形として、要求性能をバランスよく備えた汎用機というコンセプトで開発された。機体に冠された「デュエル(決闘)」の名の意味するとおり、軽量な機体を活かした高い運動性能と、ビームライフル、ビームサーベルを駆使した白兵戦闘を基本戦術としている。
ただし、本機の基本骨格に採用されたX100番台フレームは、後発機であるGAT-X105 ストライクに比べ外装、内装機材との相性があまり練り込まれておらず、想定していた性能を十全に引き出しているとは言い難い。
GAT-Xシリーズは全機共通規格のマニピュレーター[1]を採用しており、携行火器の共用化が容易な設計となっている。
武装[]
- 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
- 頭部額部に2門装備されている近接防御機関砲。宇宙艦艇のCIWSを改修して搭載したもので、他のGAT-Xシリーズや母艦のアークエンジェルにも装備されている。レーダーが捕捉した目標を察知し、射程圏内侵入と同時に自動制圧射撃を実施する。また、至近距離の対MS牽制、威嚇にも用いられる。
- 175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフル
- 主兵装の携帯ビーム兵器。基本構造及び威力等はストライクのライフルと同等だが、銃身下部に小型マルチランチャーを搭載している。ビームと実体弾を撃ち分けられるという性質から連合側のパイロット達に評価[2]され、一定数が量産された。C.E.73年、ストライクノワールが同型のビームライフルを2挺装備して出撃している。
- 350mmレールバズーカ「ゲイボルグ」
- 公式外伝『SEED ASTRAY』に登場。アストレイゴールドフレームがヘリオポリス脱出の際に持ち去ったため、本機では実際に運用されなかった。アニメでも未登場。通常の炸薬砲弾の他、内蔵電源で弾頭を電磁加速させるリニアキャノンとしての機能を持つ。(一部のゲームでは使用可能)
- ビームサーベル
- バックパックの左右にマウントされる斬撃武装。ストライクのものと同等品。
- 対ビームシールド
- ビームの粒子を反射、拡散させる特性を持つ特殊塗料をで塗装された防御装備。標準的なMS用ビーム兵器程度なら防御、無効化可能。ストライクと共通の装備だが、機体色に合わせ青く塗られている。
- ショートライフル / スナイパーライフル
- フィギュアシリーズ「AMIA」で立体化された本機に付属する非公式のオリジナル装備。銃身の機関部はビームライフルと酷似している。
アサルトシュラウド[]
機体改修時に主に火力と推進力も強化し、宇宙では機動性も高い機体。装甲自体にはPS装甲は装備されていない。
物語序盤の戦闘で損傷したデュエルに、ザフトが独自に追加した複合装甲ユニット。装着後は総重100tを超える超重量機となるが、バックパック及び脚部に追加された高出力スラスターによって強引に機動性を高めている。ただし、有重力環境ではその自重が枷となり、運動性は大幅に低下する。もっとも、緊急時のユニット排除は可能であり、即座に運動性を回復することが出来る(ただし、登場当初は「自力排除は不可」とした書籍も見られた)。
大戦後期には、連合軍がこの機体を参考に開発したGAT-01D ロングダガー、GAT-01D1 デュエルダガーにも、同コンセプトの強化装甲、フォルテストラが装備されている。
なお、「シュラウド(Shroud)」とは「死体を包む衣」という意味で、放送当時の書籍では「死体=損傷したデュエル」を示すとされるものもあったが、後にアサルトシュラウドは本来ジンやシグー用の装備(ジンアサルトを参照)であり、デュエルのものはそれを参考に製作されたものと発表されたため名称の理由は不明(一応シュラウドは単純に「覆うもの」という意味もある)。
- 追加武装
- 115mmレールガン「シヴァ」
- アサルトシュラウド右肩部装甲に設置されたレールガン。速射性に優れ、同時に多数の敵に攻撃を行なう。
- 実体弾武装である為PS装甲には通用しないが、それ以外の通常装甲に対してはインド神話における破壊神の名である「シヴァ」の名に恥じない破壊力を誇る。
- 220mm径5連装ミサイルポッド
- アサルトシュラウド左肩部装甲内に格納されたミサイルポッド。
劇中での活躍[]
劇中では、ヘリオポリスを襲撃したザフト軍のクルーゼ隊によって奪われ、隊員の1人、イザーク・ジュールの専用機となり、そのままヘリオポリスを脱出したアークエンジェルを追撃した。その最中、第5話において唯一強奪を免れたストライクの迎撃によって損傷した際に、敵軍から鹵獲した機体でありながら翌第6話において修復されており、設定の矛盾を感じさせる描写があった。第11話での損傷からの修復の際に、ジンなどの追加装備を用いて新造されたアサルトシュラウド(AS)を装着した。同時に強奪された他の3機とともにたびたびアークエンジェルを追い詰めるが、キラ・ヤマトの駆るストライクの前に辛酸を舐めさせられることが少なくなかった。
低軌道会戦中偶然地球に降下した後は、再びアークエンジェルを追って北アフリカ、マーシャル諸島と転戦。オペレーション・スピットブレイク発動後は連合本部アラスカJOSH-A侵攻作戦、パナマ攻略戦にも参加した。
再び宇宙に上がった後は新設されたジュール隊の隊長機として第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦を戦い抜き、アサルトシュラウドを破壊されながらも地球連合軍の新型GAT-X、3機のうちフォビドゥン、レイダーの2機を撃墜(スペシャルエディション3ではフォビドゥンのみ)。さらに連合の核攻撃部隊ピースメーカー隊の旗艦を撃沈し、プラント防衛に多大な貢献をした。レイダー撃墜後にフェイズシフトダウンを起こしたが、中破したバスターをアークエンジェルに収容した際に補給を受けており、ストライク用のライフルとシールドを装備してアークエンジェルの近くを飛行しているシーンも見られた。
GAT-Xシリーズ中、唯一稼動状態で停戦を迎えている。停戦後の行方は不明。
ブルデュエル[]
テンプレート:機動兵器 地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」が、アクタイオン・インダストリー社を中心とした複数企業の技術協力を受け推進したエースパイロット用カスタマイズMS開発計画―通称「アクタイオン・プロジェクト」に基づき、再製造されたデュエルを改修した機体。パイロットは「ファントムペイン」特殊戦MS小隊に所属する少尉ミューディー・ホルクロフト。
ブルデュエルは、僚機である汎用型のX105E ストライクノワール、砲戦型のX103AP ヴェルデバスターとの連携を想定し、近接白兵戦闘を重視したカスタマイズが施されている。各部に配置された増加アーマーは、ロングダガー、デュエルダガーのフォルテストラを再設計した複合兵装ユニットで、追加装備された強化スラスター及び各種火器によって機動力、攻撃力共に格段の向上が成されている。ザフトのアサルトシュラウドやGAT-01D/D1のフォルテストラは着脱可能なボルトオン装着方式であったが、本機ではそれらを本体と直結された固定装備とすることで電力供給の必要なVPS装甲化が全面的に果たされた[3]。これにより純粋な防御装甲としての機能が高められている。同時に、余分な装甲、構造材を簡略化し軽量化を図る事で、追加ユニット共通の欠点であった運動性の低下が最小限に抑えられてもいる。
機体名の「ブル」は、イタリア語で「青」を意味する。
武装[]
- M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器
- ダガーL以降の連合系量産MSが標準装備する対空防御機関砲。イーゲルシュテルンに替わり頭部に2門内蔵される。
- Mk315 スティレット投擲噴進対装甲貫入弾
- 左肩部増加アーマーのラック内に格納される自推式の投擲兵器。同じく連合系量産MSに広く装備される。劇中ミューディーは使用時に3基を一度に引き抜き投擲する。
- M443 スコルピオン機動レールガン
- 右肩シールド裏に装備された旋回式電磁レール砲塔。AS装備型デュエルの「シヴァ」や、ロングダガー、デュエルダガーのリニアガンに準じた武装。その破壊力はサソリ(Scorpion)の毒針の如く一撃必殺を誇る。
- M7G2 リトラクタブルビームガン
- 両前腕アーマーに一体化されたビームハンドガン。機体特性上敵味方入り乱れる乱戦状態下での使用を想定しており、出力や射程よりも即応性や連射能力を重視した設計としている。使用時は格納されたバレル部を旋回させ射撃体勢を取るが、通常の銃同様掌でグリップを保持する。
- ES05A ビームサーベル
- 両スネアーマー側部にマウントされる斬撃武装。ダガーLやウィンダムが装備するES04Bビームサーベルの改良型。設置位置が肩部から脚部側面に変更されており、抜刀モーションの短縮化が図られているテンプレート:要出典。
- 対ビームシールド
- 改修前と同一の装備だが、ビームガンが両腕部に固定装備化された事に伴い設置位置が右肩アームバーに変更されている。
劇中での活躍[]
本機は、ブレイク・ザ・ワールド事件後キルギスプラントを襲撃したザフト軍の殲滅任務を受けストライクノワール、ヴェルデバスターと共に現場に急行、これを鎮圧した。その後はデストロイを搭載し西ユーラシア地方を進撃中のハンニバル級陸上戦艦ボナパルトの防衛任務に就き、迫り来るザフトのMS部隊を駆逐していたが、背後よりバクゥの奇襲を受けビームサーベルで右腕、シールド、レールガンを切断され、更に左足を撃ち抜かれて行動不能となった直後に3機のケルベロスバクゥハウンドのビームファングでコクピットを滅多刺しにされて大破、パイロットのミューディーも戦死した。
レーゲンデュエル[]
テンプレート:機動兵器
謎の組織「ライブラリアン」がデュエルを独自改修・再設計した機体。型式番号冒頭の「LR」は「ライブラリアン・レーゲン」の略で、「レーゲン」はドイツ語で「雨」を意味する。パイロットはカイト・マディガン。
今までのX102の強化プランが追加装甲による火力・防御力の上昇だったのに対し、本機は白兵戦闘を基本としていたX102に、レールガンやバズーカといった中・遠距離戦能力を付加し、全領域での戦闘を柔軟にこなす機体へと強化された。 まず、砲撃戦で敵の拠点や母艦にダメージを与え、続いて中・遠距離用装備をパージして対MSとの格闘戦へと移行する。
ライブラリアン製の強化型Gは全機がストライカーシステムに対応しており、本機もストライカーパック用背部プラグが追加されているため、バックパックはそれ自体をストライカーパック「バズーカストライカー」として着脱可能で、他の強化型Gに装着、または別のストライカーを装着することができる。
顔部が独特のデザイン(「Zガンダム」に酷似している)に変更されているが、これはパイロットの趣味で変更されたものであり、通常のデザインの物と性能面の差は無い。
武装[]
- 115mmレールライフル「ルドラ」
- アサルトシュラウドに装備された115mmレールガン「シヴァ」を手持ち用の武装として改良したもの。
- 「ルドラ」とは、「シヴァ」の別名。
- バズーカストライカー
- 本機が標準装備する砲撃型ストライカー。設計にランチャーストライカーがベースとなっており、通常装備として350mmレールバズーカ「ゲイボルグ」が接続されるが、320mm超高インパルス砲「アグニ」の接続も可能。遠距離から近距離への戦闘移行時には切り捨てられるため、爆破による隠滅も可能。
脚注[]
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関連項目[]