ブルーコスモス (Blue Cosmos) は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する架空の政治結社。
概要[]
ブルーコスモスは、それ自体が統一した組織では無く、反プラント、反コーディネイター思想とその主義者の総称であり、ブルーコスモスを名乗る反ザフトゲリラも存在している。『青き清浄なる世界のために』がスローガン。
ブルーコスモス主義者の内、政治面で特に有力な人物を『盟主』と呼び、C.E.71までは、国防産業連合理事ムルタ・アズラエルが盟主であったが、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で死亡し、C.E.72頃からは、ロード・ジブリールが新盟主となる。
自然環境保護団体、カトリック教徒グループ、ムスリムなどが集合して出来たとされるが、コーディネイターに対する憎しみ、嫉妬、疑問、恐れから反コーディネイター団体となる。当初は人間の遺伝子操作に対する反対運動を行っていた。しかし、国際法で禁止されたにも関わらずコーディネイターが違法に生み出され続け既成事実化してしまっため、その存在をよしとしない人々が次第に過激化しコーディネイターを迫害・テロ行為を行う者も多くなっていった。
構成員の国籍、年齢、職業はさまざまであり、社会のあらゆる団体に存在し、各国の政財界や軍部にも根を張っている。特に大西洋連邦の政治家・軍人にはジョージ・アルスターを始めとするブルーコスモスのシンパが多い。地球連合軍上層部にもウィリアム・サザーランド大佐を始めとして多数のシンパがいる。
劇中での動向[]
機動戦士ガンダムSEED[]
地球連合軍の本格的プラント攻撃はC.E.70年の「血のバレンタイン」により開始されたが、その時に使用した核ミサイルを独断で発射した地球連合軍の士官はブルーコスモスシンパであり、地球連合軍総司令部の正式な許可を取らずに月面基地から核ミサイルを裏取引によって持ち出している。
エルビス作戦の目的もプラントの攻略と制圧を全面的核攻撃によるプラントの破壊と殲滅という厳しい手段で達成しようとした。
また、かつてのファースト・コーディネイタージョージ・グレンを暗殺した少年も、ブルーコスモスのメンバーにそそのかされてやったのではないかと言われている。
『SEED』の小説版では、決して多くはないが自らの複雑な出生関係などに悩み、コーディネイターでありながらブルーコスモスのメンバーないしシンパになった者もいる。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY[]
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の後、盟主を失って弱体化し、組織的なテロ活動は影を潜めたものの、戦後にプラント最高評議会議長に就任したギルバート・デュランダルが「組織ではなく主義者」と呼んでいるように、ブルーコスモスの主義主張に傾倒した人間による比較的小規模なテロについては、なかなか歯止めがかからないのがC.E.73年の世界における現状である。
なお、デュランダルの演説によって民衆の蜂起が起き、ブルーコスモスの「母体」だとされるロゴス共々最終的には壊滅させられた。
プラントからは当然嫌われているが、地球市民からの印象は様々であり、支持派も多いが、テロを起こして無関係な市民も巻き込まれる事から必ずしも良く思われてはいない。
機動戦士ガンダムSEED ASTRAY[]
『SEED ASTRAY』や『スペシャルエディションI 『砕かれた世界』』では、より反ザフトゲリラとして強調されている。プラントの首都アプリリウスにまで侵入し、はねクジラの破壊をもくろむが未遂に終わっている。しかし、その直後完全武装のメビウス12機とその母艦であるネルソン級戦艦をプラントへ差し向けるなど、この時点でロゴスによる後ろ盾があったことを伺わせている。
ロウ・ギュール達が北アフリカの砂漠地帯に落着した際には、マーチン・ダコスタもろとも葬り去ろうとした。ジョージ・グレン以外のコーディネイターを偽者と定義しているジョージ・グレン友の会のモンドからはブルーコスモスを「哲学の無い連中」と見なしており、山吹樹里からも「アブナイ連中」と言われている事から一部の急進的な過激派として、ナチュラルの一般市民からも否定的に見られている。
余談[]
- エルビス作戦をコーディネイターへの「根絶」であると喧伝するプラント側メディアも多かったが、作戦自体は(一方的とはいえ)宣戦布告後におこなわれた軍事行動(行った行為は民間人の大量虐殺であるものの)であり、コーディネイター自体が国際法とバイオエシックスを正面から犯した違法作出による存在であったため、地球連合加盟各国世論から大きな異論は出ていない。CE71年当時のプラント最高議長シーゲル・クラインは秘密裏にコーディネイターとナチュラルの混血を奨励し、最終的にはプラントのコーディネイターを全てナチュラルへ回帰させようとしていたことから、広義上ではブルーコスモスであるという視聴者からの意見もある。ジョージ・グレンの暗殺にブルーコスモスのメンバーが関係しているかどうかの確たる証拠は出ていない。戦後穏健化したザフト軍に反発、同軍を離脱したザフト軍脱走兵達の組織が誕生し、ブルーコスモスと対をなすかのような様相ともなっている。
- ギルバート・デュランダル最高評議会議長の演説によって民衆の蜂起が起き、デュランダル談話に寄れば「母体」だとされるロゴス共々最終的には壊滅させられたが、「組織ではなく主義者」の発言もあることからブルーコスモス思想の支持者は、その後も消えることは無いと思われる。
- プラントからは当然嫌われているが、地球市民からの受けは様々であり、支持派も多いが、テロを起こして無関係な市民も巻き込まれる事から、受けの悪い部分もある(ただし、ナチュラルに被害をもたらしたブルーコスモスのテロ、というエピソードは本編中に描かれていない)。
- 北アフリカの砂漠地帯に落着したロウ・ギュール達をマーチン・ダコスタもろとも葬り去ろうとしたブルーコスモスはパナディーアでアンドリュー・バルトフェルドを暗殺しようとしたゲリラと同一の組織と思われる。
- ネット等での略称はブルコス。
- 第1シリーズではプロデューサーの語るイラク戦争批判を背景に、米国のネオコンサバティブのイメージを仮託した組織として描かれていたブルーコスモスであったが、続編機動戦士ガンダムSEED DESTINYではなぜか一転、ナチス的猟奇描写や非人道的人体改造等の描写が目立つようになる。ジブリールが地球連合軍の指揮系統を無視して自由に命令することの出来る私兵部隊ファントムペインが登場したり、機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZERでは息のかかった養護施設(孤児院)にスウェン・カル・バヤンら孤児を集めて反コーディネイター思想を植えつけるための洗脳ともいえるイデオロギー教育や戦闘訓練を受けさせたうえでファントムペインに編入するなど、ナチスを連想させる描写が多い(ファントムペインは武装親衛隊、子供にイデオロギー教育を受けさせて戦闘員とする手法はヒトラーユーゲントからの着想と思われるがヒトラーユーゲントは戦意高揚の為のプロパガンダとしての意味合いが強く公に度々現れていたのに対し、ファントムペインの強化人間は軍の一部にのみその存在が知られているに過ぎないことから、仮面ライダーシリーズを初めとした作品に登場する改造人間に近い存在であると考えられる。上部組織のロゴスが秘密結社的な存在であった事も一考すべきだろう)。
関連項目[]
- ムルタ・アズラエル
- ロード・ジブリール
- ロゴス
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