プラント (P.L.A.N.T.) は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の国家またはスペースコロニー群。本項ではプラントの武装組織であるザフトの概要も記述する。
注意:以降の記述で物語に関する核心部分が明かされています。
概要[]
プラント (P.L.A.N.T.:Peoples Liberation Acting Nation of Technology=テクノロジー人民解放国)は、L5に存在するスペースコロニー群を拠点に、コーディネイターが中心となって作り上げた国家である。
本来、資金を提供した宗主国が作る「プラント運営会議」の支配下にある組織であったが、コーディネイターはコロニー開発に従事する者が多く、その人口中、宇宙生活者が大半であったため、プラントはコーディネイターという同胞意識を共有する人々にとって祖国となった。ナチュラルとの対立が決定的となり、開戦後はコーディネイターによる独立国になる。
居住するプラント (P.L.A.N.T.:Production Location Ally on Nexas Technology=次世代人工居住地)は、砂時計のような景観のコロニーの両端に居住地帯を設けたタイプとなっている。その為、太陽光が取り入れやすく、巨大な湖など地球によく似た自然環境を再現出来る。コロニー1基を1区、10区を1市としており、プラント全体で12市ある。
略史[]
- コズミック・イラ38年
- コズミック・イラ44年
- 新型のL5コロニー群の第一陣10基(後のアプリリウス市)完成。
- 大規模生産基地としての意味から、「プラント」と呼称される。
- コズミック・イラ45年
- コーディネイターの人口、推定で一千万を突破。
- プラントへの投資は継続され、そこに従事するにはコーディネイターでなければ無理という図式は崩れず、プラントは拡大を続ける。やがて、「プラントで作れないものはない」とまで言われるようになったが、食料、特に穀物の生産は厳重に禁じられ、ほぼ100%を地上からの輸入に頼るという状況であった。
- このころから、反コーディネイターを訴える組織によるテロ事件が発生。しかし、自治権がなく、非武装が徹底されているプラント側には対抗手段はなく、コーディネイターの間に不満が高まる。
- コズミック・イラ50年
- シーゲル・クライン、パトリック・ザラ、自治権や貿易自由権の獲得を訴えザフトの前身である「黄道同盟」を設立。
- 理事国は、黄道同盟の活動を圧殺し、コーディネイターたちの反感を買う。
- 黄道同盟は地下に潜り、プラント内で一つの勢力を築き始める。
- コズミック・イラ53年
- プラントの運営を、各市の代表による「プラント評議会」が行うこととなる。
- コズミック・イラ55年
- プラント、フェブラリウス市にてS2型のワクチン開発に成功。増産、地上への供給開始。
- コズミック・イラ57年
- 大西洋連邦宇宙軍(FSF)、ユーラシア宇宙軍、東アジア共和国航空宇宙軍の合同軍が、プラント宙域に駐留開始(のちの地球連合軍の前身となる)。
- コズミック・イラ60年~
- プラントの、地球へのエネルギー・工業製品供給地化が進む。
- 理事会は、プラントに重いノルマを化すようになる。
- コズミック・イラ61年
- ザラ委員、プラント内で反コーディネイターの組織によるテロに遭うが、一命を取り留める。
- コズミック・イラ63年
- プラントのエネルギー生産部門が、ブルーコスモスのテロにより破壊される。
- 評議会は理事会に一時的な輸出停止を申し入れるが、理事国側は拒否。
- プラントは深刻なエネルギー危機に陥る。理事会のやり方を批判し、プラント技術者の一斉サポタージュ。
- これに対し、理事国はMA艦隊でプラントを威嚇。プラント内で独立論が声高に叫ばれ始める。
- クライン、パトリック両評議会議員を筆頭に、理事国からの独立を目指すグループが結束。水面下で活動。
- MSの軍事転用の研究が始まる。
- コズミック・イラ65年
- モビルスーツの実用第一号機、秘密裏にロールアウト。
- 黄道同盟が活発化し、名称を「自由条約黄道同盟: ZAFT」に変更。
- コズミック・イラ67年
- モビルスーツの実用第一号機ジン完成。マイウス市の一部を極秘裏に改造し、モビルスーツの増産を開始。
- コズミック・イラ68年
- シーゲル・クライン、プラント評議会議長に選出される。
- ZAFT所属議員が評議会の多数派を占め、自治獲得、貿易自主権獲得を最優先とする決議が行われる。
- 翌月の理事会とのプラント運営会議にて表明。
- プラントの表明に対し、理事国は大反発。武力による示威行動に出るが、プラント側も軍備拡張で応じ、にらみ合いになる。
- クライン議長、極秘裏に、南アメリカ合衆国、大洋州連合と取引し、プラントと両国間で、食料輸入及び、工業製品輸出が取り決められる。
- 理事国側は、クライン議長の解任と議会の解体、プラントの自治権完全放棄を要求するも、プラント側が反発。それに対し、理事国側はプラントへの食料輸出の制限を行う。
- 「マンデルブロー号事件」
- 南アメリカから食料輸入を行おうとしたプラント籍の貨物船団を理事国側が撃沈。
- 「マンデルブロー号事件」を機にパトリック・ザラは「ZAFT」を解体・再編成しプラント内の警察的保安組織と合併、モビルスーツを装備した軍事的組織となる。
- コズミック・イラ69年
- シーゲル・クラインはプラント内での食料生産を開始し、ユニウス市の7~10区が穀物生産プラントに改装。
- プラントの食料生産開始に伴い、理事国側は実力を行使してもこれを排除すると勧告。
- 理事国側、プラントに対し威嚇行動に出るが、このとき初めて軍事組織「ZAFT」とモビルスーツ「ジン」の存在が公開される。モビルスーツ部隊は初の軍事行動であり、圧倒的少数でありながら地球側のモビルアーマー部隊を翻弄。宙域に駐留していた理事国の宇宙軍を排除する事に成功。
- クライン議長、完全自治権の獲得及び対等貿易を理事国側に要求。プラント理事会において交渉が何度か行われるが、平行線。
- 70年1月1日までに回答が得られない場合、プラント側は資源の地球への輸出を停止することを明示。これにより、理事国とプラントの緊張が激化。
- コズミック・イラ70年
- 1月1日
- プラント側からの要求への回答期限である理事会(「未開理事会」と呼ばれる)へ向かう評議委員へのテロ行為。議員一名が死亡。
- 「ブルーコスモス」による犯行声明が出るが、背後に理事国の存在が明らかになり、プラントは物資の輸出を停止。生産のほとんどをプラントに頼っていた理事国家群は窮乏。
- 2月11日 - 地球連合、プラントに宣戦布告。月面のプトレマイオス基地より侵攻開始。
- 2月14日 - 「血のバレンタイン」
- プラント側、モビルスーツ部隊をもって、連合の攻撃を殲滅。
- だが、ユニウス市のコロニーの一つ(食料生産コロニー/ユニウス・セブン)に被害を受け、24万3721名の犠牲者を出す。(この時パトリック・ザラ国防委員長の妻レノアがユニウス・セブンに居たため、死亡)。
- 地球側は、プラントの自爆作戦と批判。これによりザフト・地球連合の本格的闘争が始まる。
- 2月18日 - 「黒衣の独立宣言」
- クライン議長、「血のバレンタイン」での犠牲者を弔う国葬の際、独立宣言と「地球連合」への徹底抗戦を明言。
- 1月1日
- コズミック・イラ71年
- 2月14日
- 血のバレンタイン追悼式典。前日のビクトリア基地陥落の報が花を添える
- 4月1日
- プラント評議会議長選挙。パトリック・ザラ議長就任。
- ザラ議長、強硬路線を明示し、オペレーション・ウロボロスの強化策として「オペレーション・スピットブレイク」を議会に提出。即日可決される。(※ただし、このとき提出された作戦目標はパナマだった。)
- 5月5日
- 6月25日
- 前日の第三次ビクトリア攻防戦におけるビクトリア基地陥落に伴い、プラント最高評議会は宇宙戦力の更なる増強を決議。
- 9月23日
- プラント防衛要塞ボアズが、地球軍の核攻撃により陥落。
- 9月26~27日
- 第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦。パトリック・ザラ議長死亡。地球連合と停戦。
- 2月14日
- コズミック・イラ72年
- 2月頃
- ユニウス条約発効。
- 2月頃
- コズミック・イラ73年
- 10月2日
- アーモーリーワンでセカンドステージシリーズ3機が強奪される。
- ?月
- 地球連合が宣戦布告をする。
- 10月2日
各コロニー[]
- アプリリウス
- アプリリウス市に所属するプラントの首都。
- 『機動戦士ガンダムSEED』では、アスラン・ザラとシーゲル・クラインの会話の中にアプリリウスの名が出ている。
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、C.E.72年3月10日に、地球連合軍の月面兵器レクイエムの攻撃目標となるが、ジュール隊の奮闘により、レクイエム発射時に中継コロニーの射線がずれ攻撃を免れたが、かわりにヤヌアリウス市に直撃し、倒壊したコロニーの残骸に巻き込まれてディッセンベル市にも被害が出た。
- ユニウスセブン
- ユニウス市の農業用スペースコロニー。C.E.70年に血のバレンタインと呼ばれる核攻撃事件が起こり、プラントと[地球連合の全面戦争が、地球圏全土へと拡大していくきっかけとなった。
- なお、この戦争の停戦条約はユニウスセブン跡で結ばれ、ユニウス条約と呼ばれている。条約締結が行われた日、ザフト軍脱走兵達のテロ組織が偽装した武装の式典用MSによる奇襲攻撃をかけようとしたが、サーペントテールやジャン・キャリーによって阻止されている。
- C.E.73年に、サトーら旧パトリック・ザラ派のテロリストによってユニウスセブンは地球への落下軌道に乗せられる。それを阻止しようとジュール隊とミネルバがユニウスセブンの破壊作戦を敢行。「メテオブレイカー」とミネルバの艦首砲「タンホイザー」によって破壊は成功したが、その破片が地球の各地に落下し、甚大な被害が出てしまう。この事件は後に、「ブレイク・ザ・ワールドと呼ばれている。
- アーモリーワン
- アーモリー市(アーモリーワン~アーモリーテンから成る)を構成するコロニーの1つ。人工の海と港がある。
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』において、C.E.73年、アーモリーワンには、進宙式を控えていたミネルバが停泊していた他、インパルス、カオス、ガイア、アビスのセカンドステージシリーズをはじめ、ユニウス条約締結後に開発されたザクウォーリア、ザクファントムといったMSが製造されておりた。しかし、潜入していたスティング・オークレー、ステラ・ルーシェ、アウル・ニーダの3人によってカオス、ガイア、アビスを奪取され、また彼らの攻撃で大きな被害を受けてしまう。
- 小説版では、大戦後に建設された工業用プラントとされている。
- 「アーモリー (Armory) 」とは、ArmsとFactoryの合成語で、「兵器工廠」の意。
プラント最高評議会[]
プラント最高評議会 (P.L.A.N.T. Supreme Council) は、プラントの最高意思決定機関であり、プラントの首都アプリリウス市に政治拠点を持つ。
政治体制は共和制になっているが、プラント政府はザフト(自由条約黄道同盟)の一党独裁であるため、党内人事と評議員選出は実質同一である。
評議会の構成員は、互選制と呼ばれる政治に適性のある成人(15歳以上)から住民投票で選ばれる制度で決まり、12の市から1人ずつ選ばれている。適性は本人の意思とは関係なく、能力や実績からコンピューターが判断している。
C.E.71年時点の代表は以下になっている。
- アプリリウス市
- 天文学、宇宙物理学、宇宙論、宇宙惑星学、宇宙生命学
- 代表:シーゲル・クライン
- マイウス市
- 応用機械工学、基礎冶金学、応用冶金学、応用材料工学、ロボット工学
- 代表:ユーリ・アマルフィ
- ユニウス市
- 基礎農林水産学、応用農水工学、社会工学
- 代表:ルイーズ・ライトナー
- クィンティリス市
- 基礎化学、応用化学
- 代表:ジェレミー・マクスウェル
- セクスティリス市
- 基礎物理学、理論物理学、素粒子物理学、高次元物理学、数学
- 代表:オーソン・ホワイト
- セプテンベル市
- 電子工学、情報工学、人工知能工学、総合情報学
- 代表:アイリーン・カナーバ
- オクトーベル市
- 人文科学総合
- 代表:ヘルマン・グールド
- ノウェンベル市
- 多目的実用生産工学
- 代表:パーネル・ジェセック
- ディセンベル市
- 初等教育全般
- 代表:パトリック・ザラ
- ヤヌアリウス市
- 基礎微細工学、応用微細工学
- 代表:アリー・カシム
- フェブラリウス市
- 基礎医学、臨床医学、生化学、分子生物学、応用生体工学
- 代表:タッド・エルスマン
- マティウス市
- 航空宇宙工学、造船工学
- 代表:エザリア・ジュール
ザフト[]
ザフト (Z.A.F.T:Zodiac Alliance of Freedom Treaty=自由条約黄道同盟) は、プラントの政治結社であるが、事実上の国軍として機能する武装組織である。
ザフトの前身は「黄道同盟」と呼ばれる、パトリック・ザラをはじめとする当時のタカ派評議会議員らが有志となって結成した政治結社である。従って、ザフト兵が士気を鼓舞する際叫ぶ「ザフトのために!」は、軍への忠誠の自己目的化ではなく、そういった政治的同志意識の確認の意味合いが強い。
本格的軍備を整え、現在のような軍事体制となるのは、C.E.65年の事であり、地球上においては、C.E.70年以降、地球への侵攻により制圧したカーペンタリア基地やジブラルタル基地に軍事拠点を設けている。
なお、アスラン・ザラ達の世代ではザフトへの入隊は志願制になっており、士官学校を経て着任している。
また、FAITHと呼ばれるプラント国防委員会直属の特務隊が存在している。
軍服[]
ザフトでは士官学校の成績等級または兵科によって軍服の色が決まっている。
- 赤服
- 士官学校の卒業成績上位10位(資料によっては20)以上の者。通称「ザフトレッド」「アカ」。他の色と異なり、例外なくジャケットの裾が長い。
- 緑服
- 士官学校の卒業成績上位10位(資料によっては20)以下の者。なお、必ずしも軍内部で格が低いわけではなく基地司令でも緑服の者はいる。
- 黒服
- 白服付きの副官(フレデリック・アデス、アーサー・トラインなど)。
- 白服
- 戦隊規模艦隊司令を務める隊長(中隊長)、ないし同規模の艦隊旗艦艦長(ラウ・ル・クルーゼ、タリア・グラディス、ウィラード、『DESTINY』におけるイザーク・ジュールなど)。
- 紫服
- 国防委員会で軍の直接指揮権を有する文官の長(パトリック・ザラ、ヘルマン・グールド、ユーリ・アマルフィなど)。
- 青服
- 国防委員会で軍の直接指揮権を有さない文官の長。
設計局[]
MSをはじめとするザフトの兵器の多くは、行政機関の一部である設計局で開発されている。
- ハインライン設計局(開発機:シグー、ディン等)
- アジモフ設計局(開発機:バクゥ、ラゴゥ等)
- クラーク設計局(開発機:グーン、ゾノ、ザウート、ガズウート等)
- ヴェルヌ設計局(開発機:共同開発でミーティア等)
- ウェルズ設計局(開発機:共同開発でミーティア等)
軍備[]
- 軍事施設
- 詳細は『コズミック・イラの軍事施設』を参照。
- 艦艇
- 詳細は『ガンダムシリーズの登場艦船及びその他の兵器一覧』を参照。
- MS
- 詳細は『ガンダムシリーズの登場機動兵器一覧』を参照。
余談[]
- プラントでは、コロニー1基を1区、10区を1市としており、プラント全体で12市、L5に存在している。そのため、プラントのコロニーは少なくとも100基以上と推測される。
- ナチュラルが中心の地球連合軍とは敵対関係にあり、地球連合軍のムルタ・アズラエルはプラントに存在するコロニーの形が砂時計に似ている事から、プラントの事を「忌々しい砂時計」とも呼んでいた。
- プラントのコロニーにある、砂時計型の形状では遠心力を利用し、人口重力を生成する既存概念のスペースコロニーのような運用はまず不可能で、しかも劇中ではプラントは回転自体していなかったため内部は間違いなく無重力になる筈なのだが、おそらくコーディネイターの技術力でこの問題を解決したものと推測できる。
- ナチュラル/コーディネイターの対立が決定的となったことで、プラントはコーディネイターという同胞意識を共有する人々の“国土”“祖国”となった。他にもシン・アスカなど戦乱に巻き込まれて家族を失った難民が流入しているようである。これはイスラエルとユダヤ人の関係に近いものがある。
- 「評議会」は「ソビエト(совет)」の和訳でもある。
- 各市の名前は、ユリウス暦(現在の太陽暦)にちなんでいると思われる。ただし、7月をあらわす「クィンティリス」は「ユリウス」と改名される前の暦名である。
- 「DESTINY FINAL PLUS」のラストで評議会に臨むラクスの描写があるが、カリスマ性は絶大でも劇中における行動や手段において、指導者としては批判も多い彼女が適性を認められたのであれば、コンピューターの判定基準には「マキャべリスト適性」も含まれている可能性がある。
- ザフトは歴史上存在した様々な軍隊の要素を併せ持っている。
- アメリカ海兵隊:限定的ながら一部隊が陸海空宇宙すべての戦闘に対応できる。
- ソビエト連邦のボリシェヴィキ人民軍(初期)/赤軍:兵士は別の職業を持つ者が義勇兵(同志)として参加していて階級が無く、構成員は肩書きのみで呼ばれる。政治将校(FAITH)が存在する。一党独裁の政権与党が持つ武力と国軍が同一であるため、戦闘部隊が直接評議会の指揮下に置かれている。兵器の開発は一部を除くと企業ではなく、国家の「設計局」が行う。
- ナチス・ドイツ陸軍の戦闘団(カンプフグルッペ):各部隊は指揮官の名前で呼ばれる(例えばラウ・ル・クルーゼ隊長のクルーゼ隊、アンドリュー・バルトフェルド隊長のバルトフェルド隊など)。ただしこのザフトの例の場合、部隊の大きさは中隊(MS中隊)規模であり、各隊長は実質的には中隊長ということになる。
- 大日本帝国海軍:肘を張り出さず脇を締め、指先から前腕をほぼ垂直に立てることで狭い船内でも行える独特の敬礼様式。また、機関銃のことを「機銃」と呼んでいる。
- 階級が無い、ということは、自ずと「兵」「下士官」「士官」の区別も無いことになるが、なぜかこの「士官学校」は存在しており、この矛盾に関する説明は劇中、関連メディアを問わず全くされていない。ただ、小説版「DESTINY」においてザフトに階級が存在しない理由を、各隊員(コーディネーター)の知的レベルの高さに基づく判断力を生かし柔軟に戦うためという記述があるので、ザフトの構成員は処遇上(他国の軍人との対比においても)全て士官とみなされているためという好意的解釈も強引に与えられなくはないが、すると今度は「士官」という単語が存在する意味がなくなってしまう。階級が存在しないため、人材登用に融通が利くなどのメリットはあるが指揮系統や情報管理に多大な問題を抱えている可能性がある。二重統帥問題を招来する点は軍隊という官僚集団の組織合理性にとって、致命的だからである(旧ソビエトの赤軍はこの問題に突き当たったことで、帝政時代の階級制度を復活させている)。
- スペースコロニーを本拠地とする国家の宿命として、長射程の榴弾砲やMLRSのような多連装ロケット砲、高速飛行若しくは長距離飛行が可能な戦闘機の試作品の実地試験や、実弾演習や実機による飛行訓練は地球上でないと不可能(コンピュータによるシミュレーションはコロニーでも可能)なため、砲兵や航空戦力はかなり脆弱な傾向にある。(リニア自走榴弾砲に類似した兵器を保有しておらず、ザウートも地平線越し若しくは山の向こう側からの間接砲撃を行っていないため、間接照準の研究やノウハウの蓄積が進んでいない模様)
- アンドリュー・バルトフェルドはサンドイエローのジャケット姿だが、これは正装としての軍服ではなく、着任地(北アフリカ)での活動に向いた戦闘服であると思われる。
- マルコ・モラシムは潜水艦の艦長であるが、彼の髭面も含め、これは映画『Uボート』の艦長を模した出で立ちであり、服の色は関係が無いものと思われる。
- 各設計局の名は全て有名なSF作家の名字からとられている。
- ハインライン設計局:ロバート・ハインライン。モビルスーツのイメージソースとなった「パワードスーツ」が活躍する『宇宙の戦士』を著した。
- アジモフ設計局:アイザック・アジモフ。「ロボット三原則」で有名な『われはロボット』の著者。
- クラーク設計局:アーサー・クラーク。『2001年宇宙の旅』を著した。
- ヴェルヌ設計局:ジュール・ヴェルヌ。潜水艦ノーチラス号とネモ船長の活躍を描く『海底二万里』の著者。
- ウェルズ設計局:ハーバート・ジョージ・ウェルズ。火星人の襲来を描き一世を風靡した『宇宙戦争』の著者である。
関連項目[]