プロヴィデンスガンダム(Providence Gundam)は、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する架空の兵器(モビルスーツ・MS)。(型式番号:ZGMF-X13A)本項では後継機であるレジェンドガンダムの概要も記述する。
注意:以降の記述で物語に関する核心部分が明かされています。
プロヴィデンスガンダム[]
機体解説[]
プロヴィデンス | |
型式番号 | ZGMF-X13A |
所属 | ザフト |
建造 | プラント |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 18.16m |
重量 | 90.68t |
動力 | ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジン |
装甲 | フェイズシフト装甲 |
武装 | MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲×4<br />MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル<br />MA-V05A 複合兵装防盾システム ドラグーンシステム(ビーム砲×43) |
搭乗者 | ラウ・ル・クルーゼ |
ZGMF-X10AフリーダムやZGMF-X09Aジャスティスと同時期に開発された、いわば兄弟機に当たる機体。フリーダム、ジャスティスと同様に、小型ビーム兵器とPS装甲、核エンジン及びニュートロンジャマーキャンセラー、新OS「G.U.N.D.A.M.COMPLEX」等が採用されており、出力、運動性、攻撃力、防御力、稼働時間の全てにおいて、在来機を遥かに凌駕する性能を誇る。さらに出撃する時、コックピットにはフリーダムと同じく「マルチロックオンシステム」も搭載されていた。
本機最大の特徴は、無線式全周囲攻防システム「ドラグーン」の装備である。これはNジャマーに阻害されない量子通信によって、MS本体から分離した複数のビーム砲端末を同時に無線誘導し、複数の攻撃目標に対して多重的に砲撃をかけるもので、戦闘区域を単機で完全制圧することを可能としている。端末は9門のビーム砲を備えた大型が3基、2門装備の小型が8基搭載されており、プロヴィデンスはこれだけで計43門ものビーム砲を装備している事になる。
もともとこの機体は4本のビームサーベルを装備した格闘特化の機体となる予定だったが、核エンジンからの余りあるエネルギーの活用やパイロットが空間認識能力の高いラウに決まったこともあってドラグーン搭載機に変更された。ドラグーンシステムの搭載は機体の基本設計が完了した後に決まったため、機体腹部側面には量子通信ケーブルの一部が露出しているが、そのケーブル部はPS装甲でカバーされている。
尚、このシステムは使用者=パイロットの超人的な空間認識能力を必要とする為、本機はその対応適性が確認されているラウ・ル・クルーゼの専用機となっている。その為か、頭部ブレードアンテナ付近のフェイスカバーの形状がラウの仮面の形を模した物になっている。 「プロヴィデンス」は「神の意志」「摂理」「天佑」「天帝」等の意。転じて「神意を下すもの」の意とされる。 [1]
武装[]
- MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲
- 頭部と肩部に装備されたマイウス・ミリタリー・インダストリー製のバルカン砲。ミサイル迎撃用。
- MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル
- マティウス・アーセナリー製の大型ビームライフル。ジャスティスやフリーダムのルプスと比較して大型かつ高出力となっているが、バズーカの様に肩に担いで運用する形の為、やや取り回しに難がある。
- ユーディキウムはラテン語で「審判」の意。
- MA-V05A 複合兵装防盾システム
- 対ビームコーティングシールドに大型ビームサーベルと2門のビーム砲を内蔵した複合防盾。連合から強奪したGAT-X207ブリッツのトリケロスを参考にしたものと思われ、同期開発のゲイツにも同じコンセプトの武器が搭載されている。近接戦闘において極めて強力な武装であるが、武器としての取り回しを優先させた結果、基部となるシールド自体を小型化せざるをえず、防具としての性能は決して高くない。
- ドラグーンシステム
- 本機の主力武器。量子通信で計11基、総砲門数43門のビームポッドを無線制御する(詳細はドラグーンシステムを参照)。
劇中での活躍[]
初登場は第48話。ジェネシス防衛の為に第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦に投入される。世界破滅を目論むラウ・ル・クルーゼの手足となり、地球連合軍や三隻同盟軍を翻弄した。49話ではドラグーンシステムの機能をフルに使う有機的戦術によって多数のストライクダガーやM1アストレイを撃破、さらにムウ・ラ・フラガの駆るストライクを退け、ディアッカ・エルスマンのバスターを瞬時に中破させるという絶大な戦闘能力を発揮した。
第50話(最終話)において、ミーティア装備のフリーダムと交戦、圧倒的火力を誇るミーティアを単機で破壊、その後もフリーダムをも圧倒した。戦闘中フレイ・アルスターの乗る脱出艇を撃墜、それによりSEEDを発動させたキラと互いの機体各部を破損させあう程の激戦を繰り広げた。しかし、最後にはキラのフリーダムによってコクピットをビームサーベルで貫かれラウは戦死、機体もジェネシス爆発の炎に灼かれて散った。また、高山版漫画では撃破シーンが異なっており、傷づいたムウがメビウス・ゼロのガンバレルのワイヤーで本機を雁字搦めにし、キラのフリーダムがバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲でメビウス・ゼロともども本機を撃破した。
レジェンドガンダム[]
レジェンドガンダム(Legend Gundam)は、SEEDの続編である『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するMS。(型式番号:ZGMF-X666S)
機体解説[]
レジェンド | |
型式番号 | ZGMF-X666S |
所属 | ザフト軍強襲揚陸艦ミネルバ |
建造 | プラント |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 18.66m |
重量 | 86.02t |
動力 | ハイパーデュートリオンエンジン |
装甲 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲 |
武装 | MMI-GAU26 17.5mmCIWS×2 MA-BAR78F 高エネルギービームライフル MX2351 ソリドゥス・フルゴールビームシールド発生装置×2 MA-M80S デファイアント改ビームジャベリン×2 "ドラグーンシステム" GDU-X7 突撃ビーム機動砲×2 GDU-X5 突撃ビーム機動砲×8 |
搭乗者 | レイ・ザ・バレル |
ZGMF-X42Sデスティニーと同時開発されたザフト軍最新鋭MS。プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルを中心とする開発陣が、デスティニーと同様に、核動力と従来型デュートリオンのハイブリッド機関であるハイパーデュートリオン(HD)エンジンを実装し完成させた。
本機は、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で実戦投入されたZGMF-X13Aプロヴィデンスの後継発展型に当たる機体で、全身に搭載されたドラグーンシステムによる全方位同時攻撃を本領とする。系列機故か、それとも開発者の意図なのかは不明だが、機体の意匠やカラーリングがプロヴィデンスと酷似している。尚、ZGMF-X24SカオスのEQFU-5X機動兵装ポッドを経て量子インターフェイスにも改良が加えられており、従来型より比較的容易に運用可能なドラグーンシステムへと進化を遂げている。(しかし「通信機の改良」が「空間把握能力」を補える仕組みについて、作品中では特に説明はされていない)。
背面に巨大なドラグーン・プラットフォームを背負っており、その大推力によって重力下での飛行も可能となっている。ドラグーンの無線遠隔操作は重力下では不可能(分離したビーム砲端末が失速する)だが、ビームポッドは機体に接続したまま可動砲台として使用する事も可能で、その場合の火力も在来機の比ではない。
デスティニーと共にミネルバに配備され、当初はアスラン・ザラが受領。だが彼がザフトを脱走したため、追撃時に本機を使用したレイ・ザ・バレルが、そのまま正式パイロットとして搭乗する事になった。
レジェンドは「伝説」の意。前大戦時に伝説的な活躍を見せたプロヴィデンスを継承するものという意味での命名とされている。また、前大戦における戦争犯罪者であるラウ・ル・クルーゼが駆ったプロヴィデンスとの差別化を図る為だとも云われている。
武装[]
- MMI-GAU26 17.5mmCIWS
- 側頭部に内蔵された近接防御兵器。デスティニーと共通の武装である。ゲイツタイプの“ピクウス”等従来モデルよりも小口径化されている。
- MA-BAR78F 高エネルギービームライフル
- プロヴィデンスの"ユーディキウム"を改良モデルである専用ビームライフル。標準サイズのビームライフルを上回る大出力を保ちつつ、連射性能の向上や若干の小型化等を実現している。非使用時は背部のバックパックにジョイントされる。
- MX-2351 ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置
- 両手の甲に篭手の様に装備されている光学防御兵器。ビームを盾として展開し、大出力ビーム砲の直撃さえ防ぎきる。展開中でも内側からの攻撃は素通りし、攻撃と防御を同時に行うことができる。ビームの出力は調整すること事ができ、シールドの形状を変えるのみならず、ビームガンやビームサーベルとしての使用も可能である。従来の実体式シールドに比べ、ビーム攻撃に対する防御機能は遥かに向上し、同時に総重量の軽減にも一役買っている。
- MA-M80S デファイアント改ビームジャベリン
- 近接格闘用のビームサーベル系装備。ブラストインパルスに装備されていた同名のビームジャベリンの発展型かは不明。非使用時には分離させて両脚の側面に収納されている。ラケルタ系ビームサーベルの様に柄尻を連結させた「アンビデクストラス・ハルバード」形状のビームサーベルとして運用するのが標準であり、基本的に分離状態での運用はオプション的な意味合いが強い。ジャベリンとは「投げ槍」の事であり、柄の両端から刃が出ている武器の事ではないのだが、何故この名称が用いられているのかは不明である。ビーム刃の発振技術等を応用している為にこの名称が使用された可能性もあるが、関連書籍等では一切説明されていない。
- ドラグーン・システム
- 本機の主兵装。EQFU-5X機動兵装ポッドを経て量子インターフェイスにも改良が加えられており、以前の物より比較的容易に運用可能なドラグーン・システムへと進化を遂げている。ドラグーン・プラットフォームは背部に装着されており、接続プラグがシルエットシステムと共通している。
- GDU-X7 突撃ビーム機動砲
- 背部プラットフォーム最上端に2基装備される大型ドラグーン。9門のビーム砲を搭載している他、先端部からビーム刃のスパイクを出力する事が可能で、敵機に直接突撃させた場合にも高い威力を発揮する。また、機体に装着した状態のままプラットフォームごと前方に90度倒して、砲塔として使う事も出来る(劇中では未使用)。
- GDU-X5 突撃ビーム機動砲
- 背部プラットフォーム側面及び腰部に装備される小型ドラグーン。ドラグーン本来の分離式のビーム攻撃端末としての機能の他、機体に装着された状態で可動式砲台としても使用出来る。この場合、前方に砲口を集中させ面制圧攻撃に用いる事が多い。また、背面に撃つ事で死角を補い、奇襲的に扱う事も可能。これは特にドラグーンを独立稼動させられない大気圏内戦闘において効果が大きい。
劇中での活躍[]
「機体解説」の項でも触れた通り、当初はアスラン・ザラに託された機体であったが、直後のアスラン脱走事件の際、レイ・ザ・バレルが追撃のため搭乗し、以後、彼の専用機となる。
ザフトのヘブンズベース侵攻の際には単機で1機、インパルスと共に1機、デスティニー、インパルス共同で1機、合計3機のデストロイを撃墜しザフトの勝利に大きく貢献した。なお、この際レジェンドはソードインパルスの対艦刀「エクスカリバー」を使用していた。またスペシャルエディション3ではレイダー制式仕様を一瞬で葬っている。
また、ヘブンズベースでX-1デストロイがドラグーンを使えたのに対してレジェンドが使う場面が見当たらなかった。ただし、デストロイのドラグーンは非常に大型の為、推進力も比例して大きい事が大気中で使用できる理由になっている可能性はある。(通常ドラグーン端末は撃ち落とされない為に小型化させる傾向がある)
オーブ侵攻では、デスティニーとの連携でストライクフリーダムを追い詰めるが、インフィニットジャスティスの参戦で撃破には至らず、更にストライクフリーダムと戦うがどちらもダメージを与えられないまま、アークエンジェルの活躍などにより撤退した。
レクイエム攻略戦においてはデスティニーと共に陽動を務め、ドラグーンによるオールレンジ攻撃を駆使して数機のウィンダムの他にザムザザーとデストロイを撃墜。更に、ロゴスの黒幕ロード・ジブリール搭乗の戦艦ガーティー・ルーを撃沈する。
その後のレクイエム・メサイア攻防戦では、キラ・ヤマトの駆るストライクフリーダムと一対一の激しい戦闘を展開するが、最後には大半のドラグーンを連続して撃墜され、直後本体もフルバースト射撃を喰らい戦闘不能に陥った。その後、メサイアに向かう姿までは画面で確認されているが、メサイア陥落後の行方は不明。(おそらく、メサイアの中で破棄され、メサイアと共に爆散と推測)
en:ZGMF-X666S Legend Gundam
脚注[]
- ↑ 余談であるが、本来は出演の予定どころかデザインと設定すら作られていなかったが、「ガンダムでなければ今のキラ達に太刀打ちできない」という理由で急遽作られた(デザインに至っては担当の大河原氏が1週間で「作らされた」ことはファンの間では余りにも有名)。更に劇中に登場するまで、その存在はスタッフが死に物狂いで隠蔽していた。また、全体のシルエットと配色がファーストガンダムに酷似しており、視聴者の間で議論の的となった。さらにSDガンダム GGENERATION NEOにおいてウッソ・エヴィンに機体のシルエットから「ダニもどき」と呼ばれてしまっている。
参考[]
- YMF-X000A ドレッドノートガンダム
- 核動力搭載機として最初に開発された機体でドラグーンシステムを搭載している。ドレッドノートガンダムの項目参照。
- ZGMF-X3000Q プロヴィデンスザク
- プロヴィデンスのデータを元にザクに改良を加え、レジェンドの開発ベースとなった機体。ザクの項目参照。
関連項目[]
- セカンドステージシリーズ