メビウス・ゼロ(Mebius Zero)はアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する架空の兵器(モビルアーマー・略称はMA)。(型式番号:TS-MA2mod.00)
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メビウス・ゼロ[]
メビウス・ゼロ | |
形式番号 | TS-MA2mod.00 |
所属 | 地球連合軍 |
生産形態 | 少数量産機 |
全高 | 不明 |
重量 | 不明 |
乗員数 | 1名 |
主なパイロット | ムウ・ラ・フラガ ウインターズ リンドグレン ケイン ラッセル |
武装 | 対装甲リニアガン 有線式ガンバレル×4 |
地球連合軍が開発した戦闘機型MA。メインスラスターの稼動により方向転換を行えるメビウスとは異なり、方向転換は補助バーニアの噴射によって行われる為、技術的にはメビウスより一世代前の機種である。
機首部分は切り離し可能で、この部分はそのまま突入艇として単独での大気圏降下が可能である。武装は機体中央モジュールのリニアガンに加え、胴体の上下左右に「有線式ガンバレル」が合計4機搭載されている。ガンバレルは本体から切り離し有線誘導による遠隔操作を行うことが可能で、母機から離れた位置に射出し、予想し得ない方向から敵機に攻撃を加えるいわゆるオールレンジ攻撃を可能としている。またガンバレルのスラスターはそのまま本体のブースターも兼ねており、MSを上回る圧倒的な加速性能を得ている。
機動力とは別の方向性においてMSに対し優位性を持つ事でMAの弱点である旋回性能の低さをカバーした、G兵器開発以前の地球連合軍においてはMSと対等に渡り合う事ができる数少ない機体の1つであった。しかしその要たるガンバレルを扱うには突出した空間認識能力が不可欠であり、軍内ではその素質を有するパイロットの存在は希有だった。よって人的資源の確保の困難さからこの機体は少数生産に留まり、以後は簡易型であるTS-MA02の生産に切り替えられた。
なお本機は劇中、搭乗者ムウからは「ゼロ」、オペレーターからは「メビウス零式(ぜろしき)」と呼称されていた。
武装[]
- 対装甲リニアガン
- メビウス・ゼロの主力武器であるリニアガン。本体のコックピット下部に1門装備されており、対艦攻撃を想定した高出力タイプのものである。まともに命中すればナスカ級の装甲も貫く。
- 有線誘導式ガンバレル
- メビウス・ゼロ本体を取り囲むように4基が設置されている、メビウス・ゼロ最大の特徴である樽(バレル)型の特殊兵装。この樽型の兵装は本体から切り離し、有線誘導によってそれぞれが全く別の動作をする事ができる。これによりメビウス・ゼロ単機での包囲攻撃、又は多数の敵機と渡り合うことを可能としている。
武装として内蔵されている2門の機関砲の威力はそれほど高くなく、一撃でジンを仕留める事は難しいが、熟練したパイロットが4基のガンバレルをフルに活用して集中砲火を浴びせれば反撃を受けずに撃破することは充分可能。しかし、G兵器のPS装甲の前にはまったく無力で、それこそが本機が早々にリタイアした理由と思われる。
劇中での活躍[]
「G」開発計画発動までの間自軍製モビルスーツ (MS) を持たなかった連合にとって、この機体はザフトのMSに対抗し得る唯一の戦力だった。
3個小隊15機がグリマルディ戦線に投入されたが、エンデュミオンクレーターの防衛戦においてムウ・ラ・フラガの乗機を除いて壊滅した(彼自身はこの戦闘において活躍し、「エンデュミオンの鷹」という異名をつけられている)。これにより適性を有するパイロットを多数喪失したため、作中ではムウ機のみ現存する。
本編では「G」のパイトットとなる新兵たちを乗せた輸送艦の護衛として出撃し、ジンを容易く撃破する。母艦の撃沈後、宿敵ラウ・ル・クルーゼの駆るシグーと交戦しながらヘリオポリスへ侵入し、アークエンジェルと合流。ヘリオポリス脱出後、追撃してきたクルーゼ隊との戦闘では、アークエンジェルとストライクを囮にして4機の「G」を出し抜き単機で敵母艦を強襲、更には戻ってストライクの窮地を救うという獅子奮迅の活躍を見せた。それ以降も、ムウの技量によって敵「G」とも存分に渡り合い、アークエンジェルの大気圏突入まで貴重な戦力として運用された。その後、ムウはスカイグラスパー、ストライクに搭乗したため、アークエンジェルが再び宇宙に上がってからも登場することはなかった。アークエンジェル内にて保存されているとも、いつの間にか行方不明になったとも伝えられている。
コミックボンボン版では最終決戦時、ムウはプロヴィデンスとの交戦の末小破したストライクからメビウス・ゼロに乗り換え、有線式ガンバレルの特性を生かし機体ごとプロヴィデンスを拘束、ムウはキラに自身ごとプロヴィデンスを撃たせ共に消滅した。
オールレンジ攻撃の実用性を実証した地球連合軍はモビルスーツにガンバレルシステムの搭載させる為ガンバレルストライカーと直系の後継機であるエグザスを開発する。またザフトにおいてもアクタイオン・インダストリー社の協力によりドラグーンシステムを開発する。
メビウス[]
メビウス | |
形式番号 | TS-MA2 |
所属 | 地球連合軍 |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 不明 |
重量 | 不明 |
乗員数 | 1000 |
主なパイロット | 叢雲劾 カナード・パルス ルーク ゲイル 地球連合軍一般兵 |
通常装備 | 40mmバルカン砲×2 対装甲リニアガン 有線誘導式対艦ミサイル×4 |
その他の装備 | Mk5核弾頭ミサイル 45mmガトリング砲 試製ロングレンジビームキャノン |
形式番号はTS-MA2。 独特のフォルムを持った、地球軍の戦闘機型MAシリーズの一種。 コズミック・イラ71年の地球連合軍とザフト間の戦争の初期、地球連合軍宇宙軍の主力として活躍した機体。機動性は良好で、直線速度なら殆どのモビルスーツの追随を許さない。 また、2連装の噴射口を持つ2基のメインスラスターユニットは開発時既に登場していたモビルスーツの構造を参考にされている為、フレシキブな稼動が可能で、この種の機体にしては運動性能はかなり高い。このことから、技術的にはメビウス・ゼロより一世代進んだ機体である。
機体中央のモジュールに一門のリニアガン、機体前面に一対のバルカン砲、機体下部に4発の対艦用有線式誘導ミサイルを持つノーマルタイプと、核ミサイルを装備したボンバータイプがある。
ちなみに、ノーマルタイプの主力武器といえるリニアガンは光速以下では理論上弾速は亜光速まで達し、戦艦の重装甲をも撃ち貫くと考えられるが、劇中ではジンに命中しても吹き飛ぶ、あるいはひるむだけと、あまり強い印象は受けられなかった。
ボンバータイプは血のバレンタインを起こした悲劇の機体でもあり、戦争末期にはニュートロンジャマーキャンセラーにより大量に導入された。
「戦車や戦艦並みの重装甲、戦闘機並みの機動性と空戦能力、接近戦での戦闘能力を持った理想の機動兵器」というMAのコンセプトに近い性能を持つが、ザフトの開発した量産型モビルスーツ・ジンとの戦力比は3:1(放映当初設定では5:1で劇中ではそれ以上と一方的であったが後に現在の設定に改められる。)と言われている。
理由として、本来MAの攻撃対象は宇宙戦艦やコロニーなど比較的大型の構造物や宇宙機が主であり、宇宙機同士のドックファイトは想定されていなかった事が挙げられる。メビウスはメインスラスターの構造からドックファイトはある程度考慮されていたが、それはあくまでも一撃離脱戦法を主体としたもので、MSが得意としている格闘戦は想定外であったと考えられる。
そもそも速射性と命中率に主眼を置いた重突撃銃をメインアームとしていたジンに対し、装甲に対する貫通力を主眼に置いたリニアガンをメインアームであることから明らかに対艦戦をメインとした装備であり、このことからメビウスは攻撃機に相当する。その為戦闘機に相当するジン相手ではそもそも対抗すること自体困難であったと思われる。
だが、実際のところパイロットの能力以前に、戦闘機(MS)対攻撃機(MA)と観るならば3:1というキルレジオはかなり優秀なものであり、事実、メビウスはストライクダガーが開発量産されるまでの間、地球軍の月面プトレマイオス基地を守り抜いたことからも完成度の高さが窺えるだろう。コズミック・イラ73年時点においても二線級ながらも実戦投入が確認されているが、次世代機であるユークリッドへと機種換装が進み随時退役していると見られる。
劇中の活躍[]
劇中では、ジンにバックを取られ後方から撃たれたり、馬乗りにされ零距離から撃たれ撃墜されるシーンが頻繁に見られ、G兵器に対してはビームライフルによってクレー射撃かSTGの雑魚キャラの如くいとも容易く撃破されていた。さらにSEED第12話では(4機のG兵器を含むとはいえ)ザフト軍の20機程度のモビルスーツ部隊によって、100機近くのメビウスで構成される地球連合軍第八機動艦隊(放映当初の設定では、これでやっと戦力が拮抗するかどうかという状況)が壊滅させられるなど、この機体の扱いは散々だった。しかし大戦末期のボアズ攻防戦では連合軍もMSを実用化したことで、得意とする一撃離脱戦法に徹することが可能となりボアズを核攻撃によって壊滅させるなど活躍した。
『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』、『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』では、叢雲劾やカナード・パルスが搭乗している他、ミラージュコロイドを装備した機体も登場する。 また、オーブ軍が保有するヘリオポリス防衛用の機体も若干数存在した。
参考[]
- TS-MA4F エグザス
- メビウスゼロの後継機にあたるMA。ビーム砲内蔵型のガンバレルを搭載しており、メビウス・ゼロを大きく上回る攻撃力を有する。エグザスの項目参照。
備考[]
- 時系列設定の混乱
- 本項で解説されたモビルアーマー・メビウスゼロ及びメビウスは、資料によってその時系列上の位置づけが異なる。ザフトのMS出現以前から使われ続けている在来兵器であるとするものと、ザフトのMSに対抗すべく地球軍が(わずか1〜数ヶ月で)急遽作り上げた兵器とするものがあり、本項の解説は基本的に後者に準拠した。しかし、アニメーションのストーリー中、ラウ・ル・クルーゼのモノローグや開戦劈頭の様子を描くシーンでは既存の兵器とされており、開発経緯の実態は判然としない。ただし、血のバレンタインの時点で既に就役しており、少なくともCE年代で初めて戦闘用MSが世に出たCE68年のザフト武装蜂起からCE70年2月11の開戦まで約一年の期間があった事を考えると、公式年表上は開発経緯そのものに矛盾は無い。
関連項目[]